「遺品整理を業者に依頼したいけど、高額請求や盗難が心配…」。悪質な業者の「やばい」噂を聞いて、不安を感じている方は少なくないでしょう。
実際、遺品整理に関する消費者センターへの相談件数は10年で約3倍に増加し、見積金額の倍以上の請求や貴重品の持ち逃げなど、深刻な被害が報告されています。
しかし、基本的な確認ポイントを押さえることで、悪質な業者を見分けることは可能です。
本記事では、遺品整理が「やばい」といわれる背景から、実際のトラブル事例、信頼できる業者の見分け方、そして被害に遭った場合の具体的な対処法まで解説します。これから遺品整理の依頼を考えている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
遺品整理はなぜ「やばい」と言われるのか?
遺品整理が「やばい」と言われる理由は、悪質な業者によるトラブルが増えているからです。
なぜこのような事態になっているのか。その理由は以下のような背景があります。
- 高齢化社会が進み、遺品整理の需要が拡大しているから
- 遺品整理の新規参入業者が増えているから
- 業界を規制する法律がないため、悪質な業者も存在しているから
ここでは、遺品整理業界が「やばい」と言われる現状や背景について解説します。
出典:独立行政 国民生活センター|こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル-料金や作業内容に関するトラブルが発生しています-
出典:神戸新聞NEXT|家じまい<1>遺品整理、トラブル絶えず 相談件数10年で3倍に 悪徳被害に遭わない対策は
遺品整理市場の急拡大により、悪質な業者も増えているから
高齢化社会の進展とともに、遺品整理の需要が急増しています。
2024年9月時点で、65歳以上の人口は3625万人と過去最多、総人口の約30%(※1)を占めており、遺品整理は社会的なニーズとなっているのです。
市場の拡大に伴い、遺品整理業者の数も急増。2021年9月時点で約12,500社(※2)を超え、新規参入が相次いでいます。
しかし、業界の規制が整備されていないことから、経験や知識が不十分な業者も多く、深刻なトラブルが発生しています。
とくに問題なのが、高齢者の遺品整理を狙った悪質な商法です。見積り金額から大幅に膨らんだ請求や、貴重品の持ち逃げ、不法投棄など、さまざまな被害が報告されています。
国民生活センターへの相談件数は年間100件を超え、増加傾向が続いています。
(※1)出典:総務省|統計からみた我が国の高齢者
(※2)出典:リユース経済新聞|遺品整理サービスへの参入企業急増、来たる多死社会に変化する業界を考察
不法投棄で逮捕者も出ている
遺品整理業界では、不法投棄や廃棄物処理法違反による逮捕事例も報告されています。
深刻なのは、一般廃棄物収集運搬業の許可を持たない無許可業者による違法な廃棄物処理です。
2021年6月には、大阪の遺品整理業者が廃棄物処理法違反と特定商取引法違反の疑いで逮捕されました。この事例では、遺品整理の依頼に対する高額な追加請求に加え、許可なく一般廃棄物の収集運搬・処分を行っていたことが問題となりました。
出典:リユース経済新聞|遺品整理業者が逮捕、「廃棄物処理法違反」「特定商取引法違反」等の疑い
遺品整理業者を取り締まる「業法」が存在しないから
遺品整理業界には、業務を監督・規制する法律が存在しません。
古物商許可や一般廃棄物収集運搬業許可は必要ですが、遺品整理業そのものを規制する法律がないため、無資格でも営業が可能な状態です。
このような規制の不備により、粗悪なサービスを提供する業者が市場に参入しやすい環境が生まれています。
また、遺品整理のトラブルを専門に取り締まる組織がないため、迅速な対応や指導が難しい状況です。法規制の整備が急務とされていますが、業界団体の自主規制に頼らざるを得ないのが現状といえるでしょう。
「やばい」遺品整理業者によるトラブル事例
遺品整理のトラブルは年々増加傾向にあり、総務省の調査によると、以下のような被害事例が報告されています。
- 強引に営業される
- 高額な追加料金を請求される
- 不当なキャンセル料を求められる
- 遺品を勝手に処分される
- 作業を放棄される
被害を未然に防ぐためにも、業者に依頼する前に典型的なトラブル事例を知っておくことが重要です。
以下では、実際に消費者センターに寄せられた相談事例をもとに、主な被害パターンを紹介します。
強引な営業による被害
高齢女性が業者から強引な訪問を受け、自宅に押し入られるという被害に遭いました。
- 最初は通常の不用品回収を依頼
- 業者が予定の品を回収完了
- その後、電話で「まだ不用品があるはず」と執拗に連絡
- 断りの返答を無視して突然訪問
- 許可なく自宅に侵入し、勝手に引き出しを物色
- 近隣でも同様の被害報告あり
上記のケースでは、幸い盗難被害はなかったものの、高齢者の弱みに付け込む悪質な営業手法といえます。
「今なら特別価格」と契約を急がせたり、「他の業者より安い」と強調して信用させたりする手口も典型的です。
高額な追加料金を請求される
当初の見積金額から2倍以上の請求をされるケースも報告されています。
- インターネットで見つけた業者に見積り依頼
- 人件費・車両費・処分費の内訳を含む見積書を受領
- 作業開始後、「処分費用」の前払いを要求される
- トラック1台ごとに追加の現金支払いを要求
- 最終的に見積額の2倍以上を請求
- 追加料金の説明も契約書もない状態で支払い強要
典型的な手口は、作業開始後に「想定以上に荷物が多い」「特殊な処分が必要」などの理由をつけ、追加料金を要求すること。
見積り時には追加費用の説明がなく、契約書もない状態での不当な請求が特徴です。
不当なキャンセル料を請求される
契約をキャンセルしたところ、事前説明のない高額なキャンセル料を請求される被害も報告されています。
- 事前説明なしで見積金額の半額近いキャンセル料を請求
- 見積時の内金を「手配費用」として返金拒否
- 契約書にキャンセル条件の記載なし
- 「すでに準備に取り掛かった」と言い訳
とくに注意すべきは、見積り時の内金支払いを求めるケース。正当な理由のない内金は支払わず、キャンセル料の条件を必ず書面で確認しましょう。
遺品を勝手に処分される
インターネットで見つけた最安値の業者に依頼したところ、保管を指示した私物や遺品が紛失する被害も報告されています。
- 複数社から見積りを取り、最安値の業者に依頼
- 作業当日、保管品と処分品を分けて指示
- 作業員3名で搬出作業を実施
- 翌日になって、保管指示した品物の紛失が発覚
悪質な業者は、作業員間の連絡ミスを装って意図的に遺品を持ち出すケースが増えています。とくに電化製品や骨董品など、転売可能なものが狙われやすい傾向にあります。
作業が中断・放棄される
期日までの作業完了を約束しながら、突然の中断や放棄、さらには前払い金を持ち逃げするなど、悪質なケースも報告されています。
- 契約時の約束と異なる小型車両で来訪し、作業未完了
- 前払い金を受け取ったあと、作業日を延期し続ける
- 「返金する」と約束しながら、借用書への書き換えを要求
- 作業放棄後、連絡が取れなくなる
約束の期日までに撤去されず、残りの作業を断ると「料金を支払わなければ撤去したものを送りつける」と言われたケースもあります。
出典:総務省|遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書
出典:独立行政 国民生活センター|こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル-料金や作業内容に関するトラブルが発生しています-
やばい遺品整理業者の特徴とは?4つのサインを見逃さない!
遺品整理でトラブルに遭わないためにも、以下の4つのサインを見逃さないようにしましょう。
- 相場よりはるかに安い料金を提示
- 見積りや契約が口頭のみ
- サイトに事業者情報が少ない
- 問い合わせ時の対応が良くない
上記のような特徴が一つでもみられたら、要注意です。以下では、悪質業者の特徴と見破るためのポイントを解説します。
相場とかけ離れた料金を提示してくる
「格安で遺品整理します!」という謳い文句には要注意です。相場の半額以下という破格の見積りは、実は高額請求への入り口かもしれません。
典型的な手口は、まず驚くほど安い金額を提示して契約を取り付け、作業開始後に「想定以上にものが多い」など、さまざまな理由をつけて追加料金を請求することです。
結果的に相場の2倍以上の費用がかかるケースも。相場から大きく外れた金額には、必ず何かしらの理由があると考えましょう。
見積りや契約が口頭のみ
契約は、当事者間の合意があれば口頭でも成立します。
ただし、口頭契約の場合「そんなことは言っていない」といった争いが生じる場合があるため、証明として書面を保管しておく必要があります。
書面を残さない業者は、あとから料金や作業内容を変更する可能性が高いです。
とくに注意が必要なのは、見積り時の約束と異なる作業を行い、高額な追加料金を請求するケース。
必ず詳細な見積書と契約書をもらい、作業内容や料金・追加費用の有無などを確認しましょう。
Webサイトに運営元や資格が記載されていない
住所や代表者名、古物商や廃棄物処理などの許可証番号など、Webサイトに会社の実態が記載されていない業者も要注意です。
正規の資格や許可を持たない業者は、不適切な処分や不法投棄を行う可能性も。また、トラブル発生時に連絡が取れなくなるケースも報告されています。
信頼できる業者は、会社の情報を詳しく開示しています。これらの情報が確認できない業者への依頼は避けましょう。
問い合わせ対応が不誠実であいまい
質問への回答があいまいだったり、具体的な説明を避けたりする業者は危険です。とくに料金や作業内容、キャンセル条件などのトラブルになりやすい内容をはぐらかす態度は、大きな警告サインといえます。
また、「今日中の契約で割引」など、強引な営業手法を使う業者も要注意。焦らせて十分な検討時間を与えないのは、悪質業者の典型的な手口です。
丁寧な説明と明確な回答をしてくれない業者は、信頼性に欠けると判断して間違いありません。
信頼できる遺品整理業者の選び方
遺品整理でトラブルに巻き込まれないために、以下のポイントを踏まえて業者を選びましょう。
- 資格や許可を取っているか
- 口コミ・評判・作業実績はどうか
- 料金体系や見積り内容は明確か
- スタッフの対応が良いか
遺品整理業務に関する資格や許可を確認する
資格や許可を取得し、Webサイトに記載している業者は信頼性が高いといえます。
- 一般廃棄物収集運搬業許可
- 古物商許可(遺品を買取りする場合)
- 遺品供養士 など
依頼する前に、各業者のWebサイトから「会社案内」や「企業概要」を確認してみましょう。
口コミや評判だけではなく作業実績で判断する
遺品整理業者選びで、口コミ情報だけを鵜呑みにするのは危険です。
近年、自作自演の評価や架空のお客様の声を掲載する、いわゆる「ステマ」が横行しているためです。
そのため、口コミや評判だけではなく、Webサイトで公開されている「作業実績」も合わせて確認しましょう。作業前後の現場写真や作業風景は、実際の作業なしには撮影できず、偽装も困難です。
料金体系や見積り内容が明確な業者を選ぶ
優良業者は、必ず訪問見積りを実施し、詳細な見積書を作成します。見積書には、作業内容・人員体制・処分方法・料金の内訳などが明確に記載されているのが特徴です。
注意すべきは、「〜円より」といったあいまいな表記や、電話だけでの見積りを行う業者。また、見積書の発行を渋ったり、追加料金の可能性について明確な説明がない場合も要注意です。
見積り内容に少しでも不明点があれば契約前に確認し、納得してから契約しましょう。
問い合わせ時のスタッフの対応が親切で丁寧かどうかをチェックする
信頼できる業者は、電話やメールでの問い合わせに対して、丁寧かつ具体的な説明を行います。初回の問い合わせ時、質問への回答があいまいだったり、強引な営業トークが目立つ場合は注意が必要です。
理想的なのは、実務経験のあるスタッフが直接対応するケース。事務的な対応ではなく、遺品整理の専門知識にもとづいた具体的なアドバイスができる業者を選びましょう。
見積り時の身だしなみや言葉遣いも、重要な判断材料となります。
遺品整理費用の相場はどれくらい?
遺品整理の費用は、住まいの広さや遺品の量、作業人員などで大きく変動します。
費用相場を知っておくことで、悪質業者による不当な高額請求を防げます。また、極端に安い見積りにも要注意です。
以下では、全国の現実的な遺品整理の料金相場と、費用が変動する要因を解説します。
遺品整理の費用相場
遺品整理の費用は、遺品の量で決まります。多くの遺品整理業者は、間取りを基準として料金を提示していますが、以下の表の通り、同じ間取りでも遺品の量で大きく変動するため注意が必要です。
遺品整理の費用相場(税別)
間取り | 遺品の量 | 費用相場 |
---|---|---|
1R | 2~10㎥ | 4万円~20万円 |
1DK | 2~12㎥ | 4万円~24万円 |
1LDK | 3~20㎥ | 6万円~40万円 |
2LDK | 5~35㎥ | 10万円~70万円 |
3LDK | 8~50㎥ | 16万円~100万円 |
4LDK以上 | 10~70㎥ | 20万円~140万円 |
※上記料金には基本的な作業費・処分費を含む
遺品整理費用の内訳と料金差の実態
遺品整理の費用は基本料金に加え、さまざまな要因で最終的な費用が決まります。
- 人件費(作業員の人数と時間)
- 車両費(トラックのサイズと台数)
- 処分費用(廃棄物の量と種類)
- 梱包資材費(ダンボール・緩衝材など)
- オプション費用(エアコンの取り外し・ハウスクリーニング・現場供養など)
また、遺品整理業者によって料金に差が生まれる背景には、各社の運営方針や体制の違いがあります。
最も大きな要因は、リサイクル・リユースへの取り組み方です。
海外貿易も含めて独自の買取りルートを持ち、遺品の再利用に力を入れている業者は、その収益を料金に還元できるため、比較的安価なサービスを提供できます。一方、単純な廃棄処分が中心の業者は、処分費用がかさむため料金は高めになります。
会社の運営方針も料金に影響を与えます。テレビCMや新聞広告など、大規模な宣伝を行う大手業者は、その経費を料金に上乗せするため高額になりがちです。
遺品整理で被害に遭ったときの対処法
どんなに気を付けていても、遺品整理でトラブルに巻き込まれる可能性はゼロではありません。ここでは、遺品整理で被害に遭ってしまった場合の対処法を紹介します。
トラブルが発生すると焦ってしまいますが、まずは冷静に、解決を目指して1つずつ行動することが大切です。
契約書・領収書・メールなど証拠を集める
トラブル解決の第一歩は、証拠の確保です。契約時の見積書や契約書はもちろん、作業前後の写真・メールでのやり取り・通話記録など、できるだけ多くの証拠を集めましょう。
とくに重要なのが、作業前の現場写真です。貴重品の有無や遺品の量を記録しておくことで、後のトラブルを防げます。
また、業者とのやり取りは必ずメールや書面で行い、口頭の約束は避けることをおすすめします。見積書と最終請求額に差がある場合も、証拠が重要な交渉材料となります。
クーリング・オフが適用可能か確認する
クーリング・オフは契約をキャンセルできる制度で、契約日から8日以内であれば適用されます。
業者に必要事項(契約日や金額など)を記載した書面で通知すれば、契約を解除できます。通知したことを証明するため、「特定記録郵便」や「簡易書留」で送付し、コピーを取って保管することが重要です。
業者によっては「電磁的記録」で受け付けている場合もあるため、契約書を確認してみましょう。
万が一、「クーリング・オフ」はできないと言われた場合は、8日を過ぎてもクーリング・オフが適用される可能性があります。
消費生活センターへ相談する
料金トラブルや作業内容への不満は、まず消費生活センターに相談しましょう。法的な強制力はないものの、専門の相談員が解決に向けたアドバイスをくれます。全国共通の電話番号「188」でつながり、相談は無料です。(通話料は別途発生)
「追加料金が発生した」「見積り以上の請求を受けた」など、金銭的なトラブルの解決実績が豊富です。早めの相談が、スムーズな解決につながります。
犯罪被害(盗難・不法投棄など)は警察に届け出する
貴重品など遺品の盗難や不法投棄など、明らかな違法行為は警察に届け出ましょう。とくに現金や貴金属の紛失は、泥棒の疑いもあるため、すぐに警察に通報すべきです。
警察への届け出は、被害の詳細や時系列を整理してから行います。可能な限り証拠写真なども準備し、具体的な被害状況を説明できるようにしましょう。
遺品整理の悩みに応える「遺品整理総合相談窓口協同組合」
「遺品整理総合相談窓口協同組合」は、2015年に設立された、全国初となる国の許認可「国中整計建第180号」を取得した事業協同組合です。
高額請求や不法投棄など、遺品整理のトラブルが後を絶たない中、消費者保護の観点から公平な相談窓口として活動しています。
特殊清掃の先進国アメリカで学び、IICRC認定の国際資格を取得したスタッフが在籍し、専門的な知識にもとづいた相談対応が可能です。
遺品整理や特殊清掃についてのお困りごとは、当組合にご相談ください。
【フリーダイヤル】0120-119-713(平日9:00〜14:00)
公式サイトのお問い合わせフォームでも受け付けています。
まとめ|遺品整理の「やばい」業者は見分けられる!
遺品整理業界のトラブルは年々増加していますが、基本的な確認事項を押さえることで、悪質な業者を見分けることは可能です。
まず重要なのが、業者の資格や許可の確認。許可証番号をWebサイトで公開している業者は信頼できるサインといえます。
次に、見積書と契約書の内容を細かくチェック。相場から大きく外れた料金設定や、追加料金の条件があいまいな場合は要注意です。「格安」を謳う業者ほど、作業後の高額請求リスクが高くなります。
作業実績の確認も重要です。現場写真が豊富で、料金事例も具体的に公開している業者は信頼できます。反対に、口コミだけで実績の確認ができない業者は避けるべきでしょう。
遺品整理や特殊清掃については、遺品整理総合相談窓口協同組合にご相談ください。
