遺品整理はいつから始める?5つのタイミングと遅れることで発生するリスクも解説

遺品整理
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突然遺品整理をすることになった場合、「いつから始めればいいのか」「どのように進めればよいのか」と悩んでしまうこともあるでしょう。実は、遺品整理を始めるタイミングに決まりはないのです。なぜなら、故人との関係性や遺族の状況、住居の形態など、さまざまな要因が関係するからです。本記事では、遺品整理を始める5つの一般的なタイミングと、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。また、遺品整理を遅らせることで発生するリスクや、すぐに着手すべき遺品の見分け方、業者への依頼と自力での整理の判断基準など、具体的な進め方についてもご紹介します。

この記事は、現在遺品整理を検討されている方はもちろん、将来的な備えとして知識を得たい方にもおすすめです。遺族それぞれの状況に合わせて、無理のない形で整理を進めていただくための参考にしていただければ幸いです。

目次

遺品整理の時期は故人と遺族の状況で決めるのがベスト

引越し

なぜなら、故人や遺族それぞれの事情や家族構成、住んでいる場所など、考慮すべき要因が異なるからです。

たとえば、賃貸住宅に住んでいた場合は、家賃の発生を考慮して早めに遺品整理を進める必要がありますが、持ち家の場合は遺族の心の準備が整ってからでも問題ありません。

大切なのは、遺族の状況に合わせて進めることです。相続手続きや法的な期限を意識しつつも、遺族の気持ちを最優先に考えましょう。

【状況別】遺品整理を始める5つのタイミングと注意点

遺品整理の開始時期に決まりはないものの、状況ごとに最適なタイミングがあります。

四十九日法要のあと親族が集まりやすく、心の整理がついている方も多い時期
さまざまな手続きが終わってから行政手続きなどが一段落した、落ち着いた時期
葬儀が終わってから重要書類の確認や、緊急性の高いものの整理に適した時期
相続税が発生する前に法的な期限を考慮した、計画的な整理が必要な時期
気持ちや状況が整ってから遺族の心情を最優先に考えた、無理のない時期

ここでは、それぞれのタイミングのメリット・デメリットをご紹介します。遺族の状況や必要な手続きによって最適な時期が変わってくるため、自分の状況に合った時期を選ぶための参考にしてください。

1四十九日法要のあと(約49日後)

四十九日法要は親族が自然に集まれる機会であり、故人を偲びながら遺品整理について話し合えるタイミングです。また、ある程度時間が経過しているため、遺族の心も少し落ち着いていることが多い時期です。

メリットデメリット
親族が集まりやすい
心の整理がつきやすい
形見分けを自然に進められる
手続きに遅れが出る可能性がある
賃貸の場合は費用負担が増える
遠方の親族は再度来訪が必要

ただし、四十九日まで待つことで、期限のある手続きに支障が出る可能性もあります。

とくに重要書類の確認は、この時期を待たずに行うことをおすすめします。遠方の親族と一緒に整理を進めたい場合は、この機会を有効活用しましょう。

2さまざまな手続きが終わってから(約1か月後)

死亡届の提出や年金や保険の手続き、公共料金の名義変更など、主要な手続きが完了した時期に遺品整理を始めるタイミングです。

手続き関連の書類を整理したあとなので、遺品整理に集中できる環境が整います。

メリットデメリット
心に余裕がある
書類が整理済み
手続き関連の相談が可能
賃貸の場合は費用増加
相続関連の期限に注意
親族の予定調整が必要

手続きの完了を待つ場合は、その間も賃貸物件の家賃を払わなければなりません。状況に応じて並行作業も検討しましょう。

故人の死後に必要な手続き一覧

故人の死後に必要な手続きは多岐にわたりますが、主に以下のような手続きが必要です。期限が設定されているものが多いため、スケジュールを確認しておきましょう。

死亡後7日以内
  • 死亡届の提出
  • 火葬・埋葬許可申請(必要ない場合もあり)
死亡後10日以内
  • 年金受給権者死亡届(厚生年金または共済年金:10日以内)(国民年金のみ:14日以内)
死亡後14日以内
  • 国民健康保険資格喪失届
  • 後期高齢者医療保険資格喪失届
  • 介護保険資格喪失届
  • 世帯主変更届
死亡後1か月以内
  • 雇用保険受給者資格証の返還
死亡後3か月以内
  • 相続放棄の申立て(希望する場合)
  • 相続放棄しない場合は遺産分割(期限なし)
死亡後4か月以内
  • 所得税の準確定申告・納税(必要な場合のみ)
死亡後10か月以内
  • 相続税の申告・納税(対象となる場合)
期限を定めて早めに済ませるべき手続き
  • 預貯金口座の解約
  • クレジットカードの解約
  • 公共料金の名義変更
  • 携帯電話の解約
  • 保険の死亡給付金請求
  • 不動産の名義変更

これらの手続きは並行して進めることが可能です。不明な点は、市役所や相続に詳しい専門家に相談してみましょう。

3葬儀が終わってから(約1週間後)

葬儀直後は、相続手続きに必要な重要書類の確認に適した時期です。ただし、遺族の心情が不安定なため、必要最小限の整理にとどめる必要があるかもしれません。

メリットデメリット
重要書類を見つけられる
親族が集まっている
手続きにスムーズに対応できる
心情が不安定
冷静な判断が難しい場合がある
疲労が蓄積している

とくに、故人と同居していた遺族は、生活空間の変化に大きな不安を感じやすい時期です。焦らず少しずつ進められる計画を立て、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。

4相続税が発生する前に(約7か月後)

相続税の申告期限は、死亡日から10か月以内と定められています。そのため期間内に、財産の全容把握資産価値のある遺品の確認が必要です。

メリットデメリット
相続税が発生する前に対応できる
財産を把握できる
専門家に相談しやすい
相続放棄ができない可能性が高い

ただし、死亡日から3か月経っている場合は、相続放棄ができません。相続放棄を行う可能性がある場合は遺品には手をつけず、早めに手続きを行う必要があります。

不明な点は、相続に詳しい税理士や弁護士などへ相談しましょう。

5気持ちや状況が整ってから

遺品整理は故人との別れを実感する節目となります。そのため、遺族一人ひとりの心の準備を優先する必要もあるでしょう。

メリットデメリット
精神的な負担が軽い
冷静に判断できる
丁寧な整理ができる
費用負担が増える可能性がある
法定期限に注意が必要
作業の長期化

「早く片付けなければ」という周囲のプレッシャーに流されることなく、自分のペースで進めることが大切です。ただし、期限のある手続きや費用が発生する案件については、計画的な対応を心がけましょう。

遺品整理が遅れることで発生する3つのリスク

遺品整理をいつから始めるかは、遺族の心情に配慮しながら決める必要がありますが、あまり遅くなるとさまざまなリスクが生じます。とくに注意すべきなのは、経済的・法的・物理的な3つのリスクです。早めに対応することで防げるトラブルも多いため、ここではそれぞれのリスクについて具体的に解説します。

1経済的なリスク

経済的なリスクは次の通りです。

  • 家賃や管理費の継続的な発生
  • 光熱費などの無駄な出費
  • 固定資産税の支払い義務

遺品整理が遅れることで、賃貸物件の場合は毎月の家賃や管理費が発生し続けます。また、持ち家を放置して「特定空き家」に認定されると、固定資産税の優遇措置がなくなってしまうため、早めの名義変更や管理方法の検討が必要です。

故人が契約していた光熱費や通信費などの各種サービスも、解約手続きを行わない限り料金が発生し続けることになります。

2法的なリスク

法的なリスクは以下の通りです。

  • 相続手続きの遅延
  • 相続税申告への影響
  • 相続放棄の選択機会の喪失

相続税の申告は死後10か月以内、相続放棄は3か月以内と、法律で期限が定められています。

遺品整理が遅れることで必要書類が見つからない、財産の全容が把握できないなどの問題が発生し、手続きに支障をきたす可能性があります。

とくに相続放棄については、遺品を処分してしまうと選択できなくなる場合もあるため、慎重な判断が必要です。重要書類の確認と整理は、できるだけ早い段階で行うことをおすすめします。

3物理的なリスク

物理的なリスクは以下の通りです。

  • 空き家による防犯上の問題
  • 家屋の劣化や不具合の進行
  • 近隣トラブルの可能性

空き家状態が長期化すると、不法侵入や空き巣被害のリスクが高まるほか、適切な管理がなされないことで建物の劣化が進行してしまいます。

また、庭木の手入れや清掃が行き届かないことで、近隣住民とのトラブルに発展するケースも少なくありません。定期的な見回りと基本的な管理は、できるだけ早い段階で計画を立てることが大切です。

【リストで解説】すぐに対応すべき遺品と後回しにできる遺品

遺品整理は、すべてのものを一度に片付けようとすると、心身ともに大きな負担となります。優先順位をつけることが、スムーズな整理の秘訣です。

とくに、相続手続きや期限のある手続きに必要なものは早めに確認が必要です。一方で、思い出の品などは焦って判断する必要はありません。

ここでは、すぐに対応すべき遺品と、後回しにできる遺品の見分け方をご紹介します。

早急な対応が必要な遺品

以下の遺品は、手続きやセキュリティの観点から、できるだけ早く対応することをおすすめします。とくに重要書類は相続手続きに必要なため、最優先で確認しましょう。

遺品の種類具体例対応が必要な理由
重要書類通帳
印鑑
保険証書
年金手帳
相続手続きに必要
期限のある手続きあり
紛失リスクを回避するため
期限付き商品食品類
医薬品
化粧品
賞味期限や使用期限あり
デジタル機器スマートフォン
パソコン
タブレット
データの保存・削除
アカウント管理
セキュリティ対策

後回しにしても問題ない遺品の種類

次の遺品は、時間をかけて整理しても問題ありません。とくに思い出の品は、心の整理がついてから選別することをおすすめします。

遺品の種類具体例後回しにできる理由
思い出の品アルバム
記念品
手紙
時間をかけて整理できる
感情的な整理が必要
保管に問題なし
季節物の衣類・家具冬物衣類
扇風機
こたつ
保管場所があれば問題なし
じっくり選別可能
趣味の道具・収集品カメラ機材
切手収集
絵画
価値の調査が必要
整理に時間がかかる
保管に支障なし

遺品整理を業者に依頼するか自分でやるかの判断基準

遺品整理は、業者への依頼と自分たちでの作業、それぞれにメリット・デメリットがあります。遺品の量や種類、遺族の状況、時間的な制約などによって、最適な選択は変わってきます。

ここでは、自分の状況に合った方法を選ぶためのポイントをご紹介します。

遺品整理業者に依頼するのがおすすめな場合

次のようなケースは、遺品整理業者に依頼するのがおすすめです。

  • 遺品の量が多く、大型家具も多い
  • 遠方在住で現地での作業が難しい
  • 骨董品など専門的な判断が必要
  • 時間的な制約が厳しい

遺品の量が多い場合は、業者に頼むと時間も手間も省けます。遠方に住んでいる場合も、何度も往復する手間と費用を考えると、業者への依頼が結果的に経済的になることもあります。

専門知識が必要な品物がある場合も、業者の活用を検討しましょう。貴金属や骨董品の価値判断、特殊な清掃が必要な場合など、プロの知識と技術が必要な場面では、業者への依頼が安心です。

遺品整理総合相談窓口協同組合は、遺族の皆様の立場に立って、きめ細やかなサポートを提供しています。業界唯一の国際資格保持者が5名も在籍し、最新の技術と豊富な経験を活かした安心・安全なサービスを心がけています。

遺品整理について悩まれている方は、まずはお気軽にご相談ください。専門スタッフが、あなたの状況に合わせた最適な方法をご提案いたします。

【お問い合わせ】 0120-119-713(平日9時~14時)

自力で遺品整理を行うべき状況

以下のような状況では、自分たちでの遺品整理が適しています。

  • 遺品の量が少なく、管理も容易な場合
  • 時間的な余裕があり、急ぐ必要がない
  • 家族や親族の協力が得られる
  • 費用を抑えたい

上記の条件が重なる場合、自力での遺品整理を検討してみましょう。一人暮らしの小さな住居や、生前に整理が済んでいるケースでは、家族や親族での整理が効率的です。時間的な余裕があれば、思い出を振り返りながら、丁寧に作業を進められます。経済的な面でも、業者への依頼費用を抑えられるメリットがあります。

遺品整理で起きやすいトラブルと対処法

遺品整理は、親族間での意見の相違や、業者とのトラブルが発生しやすい傾向にあります。事前に起こりうるトラブルと対策を知っておくことが大切です。

親族間で発生しやすいトラブル

親族間で起こりやすい主なトラブルは次の通りです。

  • 形見分けで希望するのものが被る
  • 処分する品物の選別基準の違い
  • 作業や費用の分担方法

親族間のトラブルは、話し合いと明確なルール作りで大半が防げます。形見分けの際は、希望する品物のリストを事前に作成し、重複した場合の対応も決めておきましょう。

また、処分品の判断基準を全員で共有し、迷う場合は一時保管します。費用分担は必ず書面で合意を取り、後々のトラブルを防ぎましょう。

遺品整理業者を利用した際に起こりうるトラブル

遺品整理業者を利用する場合は、以下のトラブルに注意しましょう。

  • 予想外の追加費用発生
  • 重要品の誤処分
  • 貴重品の紛失や盗難

業者とのトラブルは、慎重な業者選びと事前の入念な打ち合わせで防ぐことができます。見積もりは複数の業者から取得し、作業内容と費用を明確にしておきます。

処分されると困るものや貴重品は、リストを作成して業者と共有・事前に別保管するなど対策を行いましょう。

遺品整理の進め方

遺品整理は、作業開始前の準備と遺品の分類方法を理解しておくことで、作業がスムーズに進みます。ここでは、具体的な手順と効率的な進め方をご紹介します。

遺品整理前にやるべき3つの準備

遺品整理を始める前に、次の3つのポイントを抑えておきましょう。

  • 親族全員が納得できる話し合いをする
  • 具体的な作業計画を立てる
  • 必要な道具と作業環境を確保する

トラブルを避けるためにも、親族間で十分に話し合うことが大切です。故人の遺品の扱いについて、それぞれの思いや意見を共有し、できるだけ全員が納得できる方針を決めましょう。

次に、具体的なスケジュールと役割分担を決めます。「誰が」「いつ」「どの場所を」担当するのか明確にしておくことで、作業がスムーズに進みます。遠方に住む親族がいる場合は、その方の都合も考慮して日程を調整しましょう。

最後に、必要な道具(ゴミ袋・段ボール・マスク・軍手など)と、遺品を一時的に保管する場所を確保します。

遺品の分類方法

遺品は大きく分けて次の4つに分類するのがおすすめです。

  • 保管するもの:相続関連の書類や貴重品
  • 形見として残すもの:思い出の品や記念品
  • 活用できるもの:寄付やリサイクル可能なもの
  • 処分するもの:使用できないものや不用品

重要書類(通帳・印鑑・保険証など)は、相続手続きで必要なため、紛失しないよう最優先で確認し、安全な場所に保管します。

形見分けの対象となる思い出の品は、故人との思い出や品の状態を考慮しながら、親族間で相談して分配します。この際、一人で判断せず皆で話し合って決めることが大切です。

貴金属や骨董品など、換金可能なものは古物商の許可を持つ専門家に査定を依頼することをおすすめします。

最後に、不用品は自治体のルールに従って適切に処分します。迷うものは一時保管し、後日あらためて検討するのもよいでしょう。

まとめ|遺品整理は状況によって始めるタイミングが異なる

遺品整理の開始時期に、誰にでも当てはまる正解はありません。重要なのは、遺族の状況や環境に合わせて、最適なタイミングを選ぶことです。

相続手続きに必要な書類や期限付きのものなど、早急な対応が必要な遺品もあります。これらは優先的に確認し、適切に保管や処分を行いましょう。

また、遺品整理を遅らせることで、経済的・法的・物理的なリスクが発生する可能性もあることを念頭に置いてください。

遺品整理でお悩みの方は、遺品整理総合相談窓口協同組合にご相談ください。遺品整理のタイミングや進め方について、ご家族の状況に合わせた最適なアドバイスをいたします。

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この記事を書いた人

(東京都)マインドカンパニー合同会社、代表社員の鷹田です。
清掃業界の先進国であるアメリカへ渡り、IICRC認定資格のTrauma and Crime Scene Technician (特殊清掃)やFire and Smoke Damage Restoration Technician (火災復旧)を学んでおります。当協同組合では、理事とサイト管理者を務めております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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